裾野が広く地域創生に大いに資する観光産業は日本経済にとって極めて重要です。非正規雇用の大きな受け皿にもなっています。またインバウンド観光の拡大は海外で親日感情を高める上に、日本における消費を促し外貨獲得にも資するものです。残念ながら観光産業は新型コロナウィルス禍で大きな打撃を受けています。
新型コロナ感染が収まり、県民割、ブロック割、Go To トラベルの再開でリベンジ需要を喚起できたとしても2年半近く止まった観光業を元に戻すには時間がかかります。Go Toキャンペーンや雇用調整助成金を越えた具体的処方箋が必要です。
まず「移動すること」や観光自体に高いリスクがあるという意識をデータや科学的知見で変えていくことが必要です。未だ出張を最低限に制限している企業や地域外からの来訪者に不安を覚える地方の不安を除くことです。水際対策の入国者数制限も撤廃すべきです。
2年半、観光が止まったことによりホテル、旅館等には年間利益の3, 40倍の負債を抱えるに至っているところもあり、追加借入も困難な状況にあります。また、この間、無賞与・無昇給であったため人材が他業種に流出、投資を抑制していたため設備や備品の更新もなされていません。このままでは、観光客が戻ってきても借金返済のために働き続けるしかなく復活は見込めません。こうした会社の経営を身軽にし、新規投資ができるようにしなければ、観光業に明るい未来は開けません。REVICによる出資、デット・エクイティ・スワップ、債務免除などで事業者を借金から開放し、新たな投資を可能にすることが大事です。
人口減少や観光客の高齢化、若者の旅行離れなど観光客が減少する蓋然性は高くなっています。若者に旅行の楽しさを覚えてもらうための工夫も必要です。観光客が減るならば、付加価値を高め客単価を上げることも考えるべきです。また、繁忙期に集中している宿泊客をオフ・ピークや平日に分散する平準化は稼働率を高めるために必要です。インバウンド観光客の増加は平準化にも資するものです。増加する観光客に対応する優秀な従業員の確保も課題です。
このままでは日本の観光は死んでしまいます。観光業、旅館の再生に必要な具体的支援策を考えていきます。